テレビの未来

アテンションの枯渇

 いま最も枯渇していて貴重な資源は、もはや情報ではなく、人間の「注意」(アテンション)だろう。情報はふんだんにあり、良質なものをふるい分けるメカニズムもだいぶ整って来た。一方で、いま最も不足しているのは、我々自身のアテンションである。

 かつて知的生産の現場であったオフィスで創造的な仕事をしにくくなっているのも、雨霰のように降る電話や電子メール、そしてフェース・トゥ・フェースの打ち合わせによる「中断」が、連続的な深い思考を妨げているからにほかならない。そのうえ、マルチタスキングが進めば進むほど、限られたアテンションのバンド幅をどのようにやりくりして複数のタスクに割り当てるのか、その制御を行うのかが、最も大切な課題になってくる。

http://ascii.jp/elem/000/000/103/103335/